EXHIBITIONS

澤田知子 狐の嫁いり

澤田知子 ID400(部分) 1998 自動証明写真機で撮影したオリジナルプリント/ゼラチン・シルバー・プリント(100枚組4点/4枚組1点)
東京都写真美術館蔵 ©︎ Tomoko Sawada

澤田知子 ID400(部分) 1998 自動証明写真機で撮影したオリジナルプリント/ゼラチン・シルバー・プリント(100枚組4点/4枚組1点)
東京都写真美術館蔵 ©︎ Tomoko Sawada

澤田知子 BLOOM(部分) 2017-2020 インクジェット・プリント(22点組) 作家蔵 ©︎ Tomoko Sawada

澤田知子 FACIAL SIGNATURE(部分) 2015 発色現像方式印画(300点組) タグチ・アートコレクション ©︎ Tomoko Sawada

澤田知子 Sign(部分) 2012 発色現像方式印画(56点×2組) 作家蔵 ©︎ Tomoko Sawada

澤田知子 これ、わたし(部分) 2010 発色現像方式印画(36点組) 東京都写真美術館蔵 ©︎ Tomoko Sawada

澤田知子 cover / Face(部分) 2002 発色現像方式印画(20点組) 作家蔵 ©︎ Tomoko Sawada

澤田知子 影法師 2018 シングル・チャンネル・ヴィデオ、B&W、サイレント、ループ 東京都写真美術館蔵 ©︎ Tomoko Sawada

 写真家・澤田知子の公立美術館では初となる大規模個展「澤田知子 狐の嫁いり」が開催される。

 澤田は兵庫県神戸市生まれ。成安造形大学造形学部デザイン科写真クラス研究生修了。デビュー作《ID400》(1998)で、2000年度キヤノン写真新世紀特別賞および2003年度木村伊兵衛写真賞、ニューヨーク国際写真センターの「The Twentieth Annual ICP Infinity Award for Young Photographer」を受賞。国内外で高い評価を得ており、世界各地の展覧会や芸術祭に参加してきた。写真集のほか絵本の出版も行う。

 澤田の代表作《ID400》は大学の卒業制作として、「変わらないはずの内面と簡単に変わる外見」をコンセプトにつくられた作品。神戸市営地下鉄の沿線上にある立体駐車場で見つけた自動証明写真機を撮影場所に選び、400回変装して写真を撮り終えた後、自身で髪を剃ってノーメイク姿の《SKINHEAD》を撮影した。

 澤田は《ID400》以降も「内面と外見の関係」という普遍的なテーマを問い続け、自らの姿や顔を被写体とするポートレイトの手法を軸に作品を制作し続けている。

 本展は、澤田の原点である《Untiled》(1996)から、デビュー作《ID400》の貴重なオリジナルバージョン、そして初公開の最新作《Reflection》(2020)までを網羅し、25年間にわたる旺盛な制作活動を概観。新旧の代表作を澤田自身によって新たな視点で編み直し、展覧会全体をひとつの新作としてとらえて構成する意欲的な試みとなる。

 また会場では、写真・映像の根本的な問う映像作品《影法師》(2018)も上映。「セルフィー」や「自撮り」といった行為が一般化する近年で、澤田の表現からセルフポートレイトが人々を引きつける理由を再検証するとともに、澤田作品の独自性と魅力に迫る。

※東京都写真美術館は、新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言後の都の緊急事態措置として、4月25日〜5月11日まで臨時休館。最新情報は公式ウェブサイトへ。