ガーダー・アイダ・アイナーソン

　ガーダー・アイダ・アイナーソン自身はじめての試みとして、ペインティング作品にのみ焦点を絞った新作10点を展示する個展が開かれる。

　1976年ノルウェーに生まれたアイナーソンは、ペインティングだけでなく、立体作品や映像作品など、ジャンルを横断して多岐にわたる作品を手がけ、世界各地の美術館やビエンナーレなどで展示。権力関係に忍び込む恐怖やパラノイア（偏執・妄想）に加え、社会・政治・経済の構造における権力とそれに対する抵抗に、強い関心を注いできた。

　本展の作品に描かれている図像はそれぞれ、日本の終末信仰集団を取材したドキュメンタリーフィルム、大恐慌時代のシカゴの政治を分析した37年の書物、69年に開催された14人のミニマリズム作家の展覧会図録、急進的左翼アクティヴィズム（加速主義）の書物など、装幀やDVDのパッケージデザイン、政治的なノベルティなどから引用されたものとなる。

　本展にあわせて、ラットホールギャラリーよりアイナーソンのペインティング・シリーズ《Tarp》を収録した作品集も刊行される。