EXHIBITIONS

辰巳菜穂展「空、影、路地 - Sky, Shadow, Alley -」

2021.02.15 - 03.05

辰巳菜穂 Kearney St, Texas 2021 © Nao Tatsumi

辰巳菜穂 Chihuahua, Mexico 2020 ©︎ Nao Tatsumi

辰巳菜穂 Myrtle Ave, New York 2021 ©︎ Nao Tatsumi

辰巳菜穂 Nairobi, Kenya - I 2020 ©︎ Nao Tatsumi

辰巳菜穂 Baja California, Mexico- IV 2021 ©︎ Nao Tatsumi

辰巳菜穂 Baja California, Mexico- I 2021 ©︎ Nao Tatsumi

辰巳菜穂 E 71st St, New York 2021 ©︎ Nao Tatsumi

 辰巳菜穂は横浜を拠点に活動するアーティスト。「Google Street View」のなかを旅して見つけた風景を描く「Street View Journey」シリーズで知られ、多くの人の心を掴んできた。

 本展「空、影、路地 - Sky, Shadow, Alley -」では、2020〜21年にかけて外出を規制され、世界が再び「遠い場所」となった日々のなかで、辰巳が画面越しの景色と深く向き合いながら描き出した新作を発表する。

 辰巳の作品でよく描かれるのは、エッフェル塔やエンパイア・ステート・ビルディングなどの象徴的な景色ではなく、地元のコーヒーショップ、誰かの家、哀愁ただよう看板など、世界のどこかで暮らす誰かの日常のなかの、何気ない景色。

「そこに人がいると現実に引き寄せられる気がして」と語るように、辰巳は近作ではほとんど人物を描いてこなかったが、今回の新作では「Google Street View」のなかの顔がぼかされた人々を「解像度の低い人たち」と呼び、「解像度が低いからこそ、自分なりの描写の余地がある」と述べ、一人ひとりを生き生きとキャンバスに描き込んだ。

 あらゆることが様々な技術により符号化された情報を介して行われるようになった昨今。「Google Street View」という「情報」をインスピレーションの源泉とする辰巳の作品からは、私たちがいまもっとも求めている、ぬくもりや気配を感じられるかもしれない。