EXHIBITIONS

ART LEAP 2020

蓮沼昌宏「特別的にできない、ファンタジー」

神戸アートビレッジセンター
2021.02.20 - 03.14

蓮沼昌宏 過去の展示 撮影=藤井昌美 画像提供=Minatomachi Art Table, Nagoya[MAT, Nagoya]

蓮沼昌宏 展覧会のためのドローイング 2020

蓮沼昌宏 展覧会のためのドローイング 2020

蓮沼昌宏 過去の展示 撮影=柳原良平

 美術家/記録写真家・蓮沼昌宏にとって最大規模の個展「特別的にできない、ファンタジー」が開催。本展は神戸アートビレッジセンターの公募プログラム「ART LEAP」の一環として行われる。

 蓮沼は1981年東京都生まれ。2010年、東京藝術大学大学院美術解剖学研究室にて「自画像」をテーマに博士号を取得。フリップ・ブック(パラパラマンガ)の原理で絵が動く装置「キノーラ」を取り入れた写真作品や絵画を制作してきた。自ら様々な土地に滞在しながら得た場所の歴史や、現地の人々へのインタビューをベースに紡がれる物語は、いっぽうで、場面背景や起承転結が明確に提示されない「非現実(ファンタジー)」として展開される。

 近年の個展に、「物語の、準備に、備える。」(富山県美術館 TADギャラリー、2020)、「数えることによって獲得するもの」(gallery N、愛知、2019)。展覧会に、大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2015など。現在、愛知県を拠点に活動している。

 本展で蓮沼は、神戸でのリサーチをもとに手がけた「非現実(ファンタジー)」を発表。新型コロナウイルスの感染拡大に伴って大きく変化した私たちの日常を、「もしかしたら、できるかどうかもわからない」という特別的にできない状況ととらえ、そこから生まれる「さみしさ」と緩やかに向き合う。

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で生活が一変し、自身の展覧会の中止も経験した蓮沼。私たちの意思とは関係なく「特別的にできない」状況は、現在進行形で世界中に「さみしさ」を与えている。 このなかで、蓮沼は「非現実(ファンタジー)」の物語を紡ぎ、「さみしさ」を真っ向からとらえるのではなく、ないがしろにするでもない、「さみしさ」との向き合い方を提示する。

 展覧会初日の2月20日にゲストトークを、会期最終日の3月14日には、「ART LEAP 2020」審査員を務める服部浩之(キュレーター/秋田公立美術大学大学院准教授)とのトークイベントを実施。両日、オンラインにて配信予定。