EXHIBITIONS

森夕香 、西條茜 二人展「流転するあいづち」

2021.02.12 - 03.12
 画家・森夕香と陶芸家・西條茜の2人展「流転するあいづち」がLOKO GALLERYで開催される。

 森は1991年滋賀県生まれ、西條は89年兵庫県生まれ。京都に拠点を構える森と西條は、京都市立芸術大学大学院修士課程で研鑽を積んだ仲であり、それぞれのアプローチで、身体とあるものとの境界について着目している。

 森は日本画を出自とし、自己と外部を隔てる境界が決壊する感覚をとらえようと、表層の美の奥にある内面の表現を探求。いっぽう西條は、関心のある史実上の出来事や事件を丁寧にリサーチして採掘し、そこに潜む「虚構性」を内部が空洞であるという陶器の構造と重ね合わせた作品を手がけている。

 本展は、2名の作家が経験した「身体の罪」を往復書簡によって告白し合うことから始まった。2人によると、往復書簡を重ねていくなかで、どこまで本当の自分をさらけ出すのか、否応なしに心理的な駆け引きが働いたと言う。相手に起こったことを受け止め、自分ではない存在との共通概念を探り当てる行為は、社会と自分の関係性を再認識すること。そこから相手の「身体の罪」を流転させて新たなエネルギーに変容させる循環を生み出していった。

 展示では往復書簡の内容は公開されない。古来より日本語には衝突や葛藤、緊張状態を解消するために「水に流す」という言葉があるが、本展で2人の作家は、互いの認知の境界線の波打ち際を行き来し、本来水で流されるべきかもしれない相手の懺悔を昇華させた作品群をつくり上げる。