EXHIBITIONS

アントニー・ケアンズ「TYO3−TYO4」

2021.02.04 - 02.27

アントニー・ケアンズ TYO3_33 © Antony Cairns Courtesy of Akio Nagasawa Gallery

アントニー・ケアンズ TYO3_63 © Antony Cairns Courtesy of Akio Nagasawa Gallery

アントニー・ケアンズ TYO3_26 © Antony Cairns Courtesy of Akio Nagasawa Gallery

アントニー・ケアンズ TYO4_31 © Antony Cairns Courtesy of Akio Nagasawa Gallery

アントニー・ケアンズ TYO4_57 © Antony Cairns Courtesy of Akio Nagasawa Gallery

展示風景 © Antony Cairns Courtesy of ︎Akio Nagasawa Gallery

 夜の都市を探求し続けるアーティスト、アントニー・ケアンズの最新作「TYO3」と「TYO4」がAkio Nagasawa Gallery AOYAMAで展示される。

 ケアンズは1980年ロンドン生まれ。2002年にロンドンカレッジ・オブ・プリンティングを卒業。ロンドンや東京、ロサンゼルスのような都市の建物から投影される光を使い、夜間に写真を撮影し作品を制作している。これまで、ヨーロッパや米国、日本など世界各地で作品を発表。現在はロンドンを拠点に活動を行う。

 本展は、東京(TYO)で撮影された作品のみで構成。ケアンズはイメージを暗室内での処理によって抽象化することで、撮影された都市の固有性を隠蔽し、その都市の内包する夜のエネルギーを抽出してきたが、今回のシリーズでは、個々の建物や道路などから明確に撮影地が東京であると認識できるように表現した。それは今作の支持体となる、1970年代のIBMのヴィンテージコンピュータ用紙が大きく関連している。

 ケアンズは、イメージの撮影、暗室でのイメージ操作、支持体および印刷プロセスを慎重に選び、ひとつのイメージをユニークなオブジェとして結実させてきた。今回、ヴィンテージコンピュータ用紙の上に乗せるイメージを検討した結果、東京の夜の風景が選ばれた。

 東京という高度にテクノロジーの進化した都市の夜景、それを支えているのは1970年代に生産されたコンピューター用紙という脆弱な支持体。「TYO3」と「TYO4」は、ケアンズの東京という都市に対する文明批評として読み解くことができるだろう。