EXHIBITIONS

愛すべきアートのはなし

Nerhol Chair 2020

左上から時計回りに、Nerhol《Chair》(2020)、三瓶玲奈《⾊を⾒る》(2020)、向⼭喜章《22 Marugafuuga》(2020)

 Nerhol、三瓶玲奈、向⼭喜章のアーティスト3組によるグループ展「愛すべきアートのはなし」が銀座 蔦屋書店「GINZA ATRIUM」で開催。会期は1月23日~2月4日。

 本展に参加する3組は、「⼈間とはなにか」「世界とはどういう場所なのか」という、⼈が社会のなかで考え続けてきたことを現代に引き受けて考え、その思いを作品に込めてきた。本展ではそれぞれの過去作品から新作までを展⽰する。

 Nerholは飯⽥⻯太と⽥中義久のふたりからなるアーティストデュオ。ポートレイト、街路樹、動物、⽔など様々なモチーフを選びながらも⼀貫して、私たちが⽇常⽣活を過ごすときには⾒落としがちな、有機物が孕む多層的な存在態を解き明かすことを試みている。

 三瓶玲奈は1992年愛知県⽣まれ。⾝近に存在しているもの、自身が経験したことや周囲で⽴ち上がる現象を、⼀⾒簡潔に⾒えながらも深く練り上げられた絵筆のストロークと絵具のバランスによって描き出す。それはある時は抽象的な、ある時には具象的な作品へと結実する。近年では「⾊を⾒る」「線を⾒る」などのシリーズを手がけ、⽇常のなかでとらえた光景からその印象のもとをたどり、繰り返し考察することで、⼈間の知覚をいかにして絵画で表現していくのかにも集中的に取り組む。

 向⼭喜章は1968年⼤阪府⽣まれ。幼少期を⽇本有数の密教の伽藍が⽴ち並ぶ和歌山の⾼野⼭で過ごし、周囲の静謐な環境やそこに存在する仏教美術にふれる。この原体験が制作の根幹をなし、初期より一貫して「光」そのものをモチーフに、歴史や⼈の精神性にふれるコンセプトを織り込み、ペインティングやドローイング作品を仕上げる。⽇本独⾃のミニマリズムを追求する作品は、巨視的なスケールの世界観とともに、いまの世界に対しても重要なメッセージを伝えてくれるようだ。