EXHIBITIONS

唐武と芸術写真の時代

2021.01.16 - 02.14

唐武 丸の内三題(其の二) 1928 岩手県立美術館蔵

唐武 静物 1925 岩手県立美術館寄託

唐武 コンストラクション 1925 岩手県立美術館寄託

唐武 〔セルフ・ポートレート〕 1923頃 岩手県立美術館寄託

唐武 小岩井の秋 1925 岩手県立美術館寄託

 大正末期〜戦前の岩手県で活躍した写真家、唐武(から・たけし)の本格的な回顧展が初開催される。

 大正期、カメラ人口の急増とともに全国で盛んにつくられた「芸術写真」。記録という本来の役割よりも、美的な「作品」としての写真を目指した人々が手本としたのは、絵画の表現であった。様々な表現が生まれ、多くの写真家たちが写真雑誌への投稿や展覧会への出品を通じて競演。そのなかで唐は、岩手を代表する写真家のひとりとして広く知られた。

 盛岡で長らく写真館を営んでいた唐は、岩手でいち早く芸術写真に取り組み、大正末期から戦前にかけて、県内の写真界をリード。何気ない風景やありふれたモチーフを、モダンな感覚と巧みな画面構成で印象深い場面へと昇華させた作品は、近年の写真史研究においても注目を集めている。

 本展では、唐の代表作約100点に関連作品や資料を加えて展覧。また、神戸の淵上白陽(ふちかみ・はくよう)をはじめとする、同時代の主要芸術写真家たちの作品や、唐と活動をともにした岩手の写真家たちの作品・資料などを併せて展示し、岩手で芸術写真が花開いた時代を紹介する。