多層世界の中のもうひとつのミュージアム──ハイパーICCへようこそ

　NTTインターコミュニケーション・センター［ICC］が特別展「多層世界の中のもうひとつのミュージアム──ハイパーICCへようこそ」を開催する。

「ミラーワールド」「デジタルツイン」「コモングラウンド」。近年様々なシーンで取り上げられるこれらの概念は、いずれも通信やコンピュータ処理の高速化などを背景に、実空間と対応関係をもつ。それは、高精度なシミュレーションなどにも活用可能なデジタル情報空間が実現化しつつあることを象徴している。

　さらに2020年に起こった新型コロナウイルスの世界的な感染拡大が、物理的移動に大きな制限をかけた結果、デジタル情報空間への注目度があらためて高まっている。多くの美術館が展覧会の中止を余儀なくされるなか、オンライン上で公開する試みが始まり、さらに、アーティストによるオンラインでの展示が様々に試行された。

　大きな社会変動の只中にあって、ICCではメディア・テクノロジーを駆使し、これまでもネットワーク上での作品公開などを展開してきたメディア・アートの手法によって、新しい展覧会のあり方を示唆するヴィジョンとその可能性を探る。

　その試みとなる本展は、オンライン（1月16日より公開）でスタートした後、リアルの会場でも展示を行う。オンラインでは、東京オペラシティ街区の一部をバーチャルで再現するとともに、「情報の建築」としてのもうひとつのICCを構築。オンラインからアクセスして体験できる作品が実際に現れるなど、リアルの会場と連携し合い、情報が行き来する空間を展開する（「ヴァーチュアル初台、ハイパーICC」監修：豊田啓介［noiz］、制作：中村将達）。

　本展の参加アーティストは、アグネス吉井、尾焼津早織、谷口暁彦、原田郁、藤倉麻子、山内祥太、山本悠と時里充の7組。