EXHIBITIONS

森綾「襞の鼓動」

2021.01.19 - 02.27

森綾 Seesaw 2020 陶 H57×W52×D60cm

森綾 樹雨 2020 陶 H63×W72×D75cm

森綾 Circulation 2020 陶 H27×W21×D27.5cm

森綾 戯 2020 陶 H31×W21× D22 cm

 気鋭の陶芸家・森綾(もり・あや)の初個展「襞の鼓動」が、現代美術 艸居で開催される。

 森は1989年愛知県生まれ。2014年愛知教育大学大学院教育学研究科芸術教育専攻修了。現代陶芸家の中島晴美から学ぶ。「素材を一つに限定し、その関わりのなかから導き出される造形を追求する」という師の陶芸論を受け継ぎ、ありのままの自分で純粋に土と向き合って、独自の造形を生み出してきた。

 森の作品は、ひもづくりにて形成された躯体とひだによって成り立つ。かたちを立ち上げていく過程で、土の湿った表面や、空気を内包した膨らみ、意図せず立ち現れる曖昧なラインや重力によって生じるゆがみなどから、自然物の生命力を感じ取り、自身の作品のテーマを「生(せい)のエネルギー」であると語っている。

 近年では、大作がミネアポリス美術館に展示、収蔵される。国内外で高い評価を獲得しながらも、自らの技術やスタイルにとどまることなく、つねに新たな領域へと挑戦し表現の幅を広げ続けている。

 本展に向けた制作期間中に、森は出産を経験し、また感染症の流行など作家を取り巻く環境が著しく変化した。そんななかで、心を無にし、土塊の息づかいにそっと耳を傾けて手がけた新作約13点を本展で発表する。

 深海を連想させる海鼠釉(なまこゆう)で知られる森だが、今作では、銀や複数の釉薬をかけ合わせ、雨に打たれひっそり佇む植物の生命力を表現している。