EXHIBITIONS

マーク・マンダース —マーク・マンダースの不在

2021.03.20 - 06.22

マーク・マンダース マインド・スタディ 2010-11
ボンネファンテン美術館蔵 Courtesy of Zeno X Gallery, Antwerp
Photo by Peter Cox / Bonnefanten

マーク・マンダース 未焼成の土の頭部 2011-14
Courtesy of Zeno X Gallery, Antwerp & Tanya Bonakdar Gallery, New York/Los Angeles
Photo by Genevieve Hanson

マーク・マンダース 椅子の上の乾いた像 2011-15 東京都現代美術館蔵
Courtesy of Zeno X Gallery, Antwerp, Tanya Bonakdar Gallery, New York and Gallery Koyanagi, Tokyo

マーク・マンダース 黄色と青のコンポジション 2014-18
Courtesy of Zeno X Gallery, Antwerp Photo by Peter Cox

マーク・マンダース 4つの黄色い縦のコンポジション 2017-19
Courtesy of Zeno X Gallery, Antwerp, Tanya Bonakdar Gallery, New York and Gallery Koyanagi, Tokyo
Photo by Maris Hutchinson

マーク・マンダース 狐 / 鼠 / ベルト 1992-93
Courtesy of Zeno X Gallery, Antwerp, Tanya Bonakdar Gallery, New York and Gallery Koyanagi, Tokyo

マーク・マンダース 舞台のアンドロイド(88%に縮小) 2002-14
Courtesy of Zeno X Gallery, Antwerp Photo by Peter Cox

マーク・マンダース スタジオ風景

 現代のアートシーンに独自の位置を占める作家マーク・マンダースが、国内美術館での初個展「マーク・マンダース —マーク・マンダースの不在」を開催する。

 マンダースは1968年オランダ・フォルケル生まれ。アーネム市芸術大学でデザインを学んだ後、86年より「建物としてのセルフ・ポートレイト」と称した独自のコンセプトに沿ったインスタレーションを、30年以上にわたって制作し続けている。

 マンダースが構想する「建物としてのセルフ・ポートレイト」は、18歳のときに自伝執筆の試みを契機に得たもの。架空の芸術家「マーク・マンダース」の自画像を「建物」の枠組みを用いて構築し、想像の部屋に置くための彫刻やオブジェをインスタレーションとして展開する。

 作品はすべて「建物」の一部をなすものとして現れ、本物のマンダースと「架空の芸術家マンダース」の自画像とが混交しながら消失・生起し、見る者を虚実の空間へと誘う。いっぽう、個々の作品には互換性があり、時に部屋や構成に従って置き換えられる。それによって、想像の「建物」全体は、ひとつの自動的な装置のように絶え間なく改変され、更新されていくこととなる。

 作品の配置全体によって人の像を構築するという、独創的な作品世界で高い評価を受けてきたマンダース。本展では、作家本人がおよそ1年をかけた構想に沿って、展示全体がひとつの作品(=想像の建物のインスタレ―ション)として構成される。

 ヴェネチア・ビエンナーレでも展示された代表作《夜の庭の光景》《マインド・スタディ》を日本で初公開するほか、作家が「大好きな作品」だと語る、部屋のインスタレーションも展示予定。芸術の意味、想像力や人の生の経験と時間についての思索を促すマンダースの謎めいた作品を、国内で堪能できる貴重な機会となる。

※東京都現代美術館は、新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言後の都の緊急事態措置として、5月31日まで全館臨時休館。6月1日から感染予防対策を講じた「完全予約制」のうえ展示を再開する。再開にあたり、展覧会の会期を6月22日まで延長し、会期中、休館日も臨時開館。詳細は公式ウェブサイトへ。