EXHIBITIONS

東日本大震災から10年

土門拳×藤森武写真展 みちのくの仏像

2021.02.11 - 03.28

藤森武 聖観音菩薩立像 岩手県二戸市 天台寺

 八王子市夢美術館では、東日本大震災から10年の節目に、特別展「土門拳×藤森武写真展 みちのくの仏像」を開催する。

 ノミ跡を残した鉈(なた)彫り、木の根のかたちをとどめた立木仏、素朴な円空仏、東北の繁栄を伝える絢爛たる仏。東北6県は、魅力的な仏像の宝庫として知られ、世界遺産にも登録された岩手県・中尊寺の金色堂をはじめ、それぞれに歴史と伝統、地域色豊かな仏像が数多く残されている。

 山形県酒田市出身の写真家・土門拳(1909〜1990)は、奈良や京都など畿内に伝わる仏像を中心に撮影し、仏像写真のなかでも、作品集『古寺巡礼』がよく知られる。

 中尊寺などの一部を除き、自らの出身地・東北での撮影に至らなかった土門だが、その直弟子で『古寺巡礼』にも携わった写真家の藤森武は、1979年に、みちのくを代表する仏像《薬師知来坐像》(福島県湯川村・勝常寺)の撮影を実現させた。

 仏像写真の奥深さに魅せられた藤森は、以後、師の遺志を受け継ぐかのように、東北各地の仏像を撮り続けている。

 本展は、被災地の復興を祈念し、藤森がカメラに収めた東北の仏像写真を中心に、師である土門の写真をあわせ紹介するもの。風雪に耐え、みちのくの人々に受け継がれた、祈りのかたちに思いをはせる。