EXHIBITIONS

project N 81 小瀬真由子

小瀬真由子 蝶の会議 2020

 注目の若手ペインターを紹介する展覧会シリーズ「project N」の今回は、匿名の人物群像を日本画に描く小瀬真由子の個展を開催する。

 小瀬は1996年神奈川県生まれ。2018年に多摩美術大学美術学部絵画学科日本画専攻を卒業、20年に多摩美術大学大学院美術研究科修士課程絵画専攻日本画研究領域を修了。戦後日本の写真家や、1960〜70年代の劇画、また日本のグラフィックデザインや絵画を参照しつつ、主に人物群像の日本画を制作している。

 平塗りによる画面構成を基軸に、人物は大抵シルエットで表され、匿名的な存在と化す小瀬の作品。しかし服装やしぐさ、そして様々な象徴的モチーフと組み合わさることで、むしろ見る者の想像力を喚起する強烈な力を獲得している。

 作家自身は、「特定の時代や社会を念頭に置くよりも、複数の人体の配置が生み出す関係性やシチュエーション的なものの表現に関心がある」と言う。
 
 日本画の技法に特有の平面性や質感などに注目する小瀬は、それをあくまでニュートラルな表現メディアとして選択し、横尾忠則や粟津潔らのグラフィックデザイナーの仕事をリスペクトしながら制作を進めてきた。その作品からは、自然や美意識といった日本画の慣習的な枠組みにとらわれることなく、日本画の可能性を切り拓こうする姿勢が伝わってくるだろう。

 本展では、アートアワードトーキョー丸の内(2018)での受賞作品や、新作などが展示される。