EXHIBITIONS

上野アーティストプロジェクト2020

読み、味わう現代の書

中野北溟 はれやか 2020 個人蔵

榎倉香邨 芳潤 2009 帝京大学書道研究所蔵

岡美知子 額田王の歌(万葉集) 2020 作家蔵

小山やす子  伊勢物語屏風(部分) 2002 成田山書道美術館蔵

村上翠亭  ガラス戸 1967 大東文化大学蔵

「上野アーティストプロジェクト」は、公募団体展で活躍する現代作家を取り上げる展覧会シリーズ。第4弾では「読み、味わう現代の書」をテーマに、書の公募展でかなや近代詩文書を発表し、昭和から平成、令和に至る激動の時代を生きてきた現代書壇の代表的な作家を紹介している。

 出品作家は、榎倉香邨(えのくら・こうそん、日本書芸院)、岡美知子(現日会)、小山やす子(日本書道美術院)、中野北溟(なかの・ほくめい、創玄書道会)、村上翠亭(むらかみ・すいてい)の5名。

 榎倉、中野、岡の現役作家に加えて、書の分野で女性初の文化功労者となり、2019年に惜しまれつつ亡くなった小山やす子、そして2018年に逝去した村上翠亭の、ベテラン書作家の作品が共演する。

 本展では、コロナ禍に制作された最新作も展示。様々な困難な状況にあるいま、めまぐるしく変化する社会情勢に翻弄されることなく、個性的な表現を確立してきた作家たちの、美しい言葉を読み、鍛えられた線による造形の美をゆっくりと味わうことを通して、学びを得ることができるだろう。

 なお、東京都美術館コレクション展「読み、味わう昭和の書」も同時開催中(会場:東京都美術館ギャラリーB、〜12月28日、観覧無料)。コレクション展では、東京都美術館の収蔵作品のなかから、金子鷗亭による近代詩文書とともに、安東聖空や日比野五鳳らのかなの作品を展示。あわせて、東京都江戸東京博物館が収蔵する、中村素堂の収集した短冊や、森田安次と青木香流、徳野大空の作品も紹介している。