EXHIBITIONS

袴田京太朗「彫刻の壊れ」

2020.12.12 - 12.26, 2021.01.12 - 01.23

袴田京太朗「彫刻の壊れ」より

「彫刻とは何か」を問い続ける彫刻家・袴田京太朗の個展「彫刻の壊れ」がMA2 Galleryで開催される。

 袴田は1963年静岡県生まれ。制作初期はベニヤ板やメッキ鋼板など、工業製品による空洞をもった彫刻作品を発表。様々な素材やアプローチを試みながら、一貫して彫刻の本質を追究している。近年は「複製」をテーマに、既製品の一部にカラフルなアクリル板を重ね合わせた人型のシリーズを制作。彫刻の表面とその内部、本物と偽物の関係性を問う。

 本展では、「切断された木彫をアクリル板の積層によって2つに複製する」「複製された2つの彫刻、その正面を隠す」「既製の彫刻の正面を隠し、裏側だけを見せる」「鑑賞者の身体に直接触れ、跡を残す彫刻」という4つの手順を定めた新作を発表。今作について、次の言葉を寄せている。

「彫刻が世界と繋がることができるのは、彫刻が壊れた時である。打ち倒された権力者の銅像が、閉鎖された美術館に立つ誰にも見られることのない仏像が、日常に流れ出し、風景の一部となる。あるいは、壁際に立つ彫像の背面、設置や撤去の際に偶然見かけた彫刻の裏側、底面、それらは図らずも彫刻が求め続けてきたリアル/日常である。望まないかたちで到達してしまったリアル/日常を、彫刻は受け入れることができるだろうか。

『彫刻の壊れ』が、『彫刻の裏側』が、どこにも属さない宙ぶらりんの彫刻なるものに重力を与え、この世界のどこかに着地させる(袴田京太朗)」。