EXHIBITIONS

橘田尚之「基底材とメデューム」

2020.12.10 - 12.27

橘田尚之「基底材とメデューム」より

 橘田尚之(1947〜)は東京藝術大学で絵画を学び、30年以上にわたってアルミ板を素材に立体作品を制作している造形作家。初期では紙を支持体に、「アイウエオ」のハンコを横にずらしながら押した作品や、ローラーで紙の厚みの部分を転がしてその表面に転写し、厚みが細い線として現れる作品などを制作する。

 80年からは、薄いアルミニウム板を使って、複雑な形状を組み合わせる立体シリーズに着手。アルミニウムを腐食させることで、表面に水しぶきのような流動的な模様を浮かび上がらせる。2000年代の最近作では、視線をすべらせる形態を本体に付加した作品に取り組む。

 高校時代から自前のキャンバスをつくり、板をキャンバス代わりにしていたと言う橘田。絵画では支持体であるが、立体をつくり出してから何かが足りないと感じていて、その空白に様々ものを詰め込みんでみたが、それが基底材だとわかってきたと語る。

 本展のコンセプトは、絵画における基底材は立体ではどのようなかたちをとるか、また、こうして考えた立体における基底材を、平面に応用すること。新作の立体に加え、平面の大作2点や小品も発表する。