EXHIBITIONS

部屋と庭 隔たりの形式ー武蔵野美術大学教員による小企画

森田浩彰 Mobile Catalogue(Converse All Star) 2017 撮影=松尾宇人 ©︎ Hiroaki Morita, Courtesy of AOYAMA | MEGURO

石川卓磨 小説の中の私(I in the Novel) 2019 ©︎ Takuma Ishikawa Courtesy of TALION GALLERY

後藤映則 toki- WALK #01 2015

小林耕平 東・海・道・中・膝・栗・毛 2016 撮影=中川周 ©︎ Kohei Kobayashi Courtesy of ANOMALY

杉浦藍 Spatial drawing 2017 撮影=加藤健 ©︎ Ai Sugiura

鈴木基真 untitled 2007 撮影=加藤健 ©︎ Motomasa Suzuki Courtesy of Takuro Someya Contemporary Art

冨井大裕 NR(踊るノート)#18 2019 撮影=柳場大 ©︎ Motohiro Tomii Courtesy of Yumiko Chiba Associates

 武蔵野美術大学 美術館・図書館では、同学の教育を支える若手・中堅層の教員7名による小企画「部屋と庭 隔たりの形式」を開催。「部屋と庭」をめぐって想起される様々な事象を起点に、映像や写真、彫刻など多様な作品を展示する。

 本展企画・参加作家は、高速連写によってとらえた作品で、未分化な領域を意識的に示唆する石川卓磨(造形学部芸術文化学科/造形構想学部クリエイティブイノベーション学科非常勤講師)、古くから存在する手法やメディアを再解釈し、3Dプリンターなどの現代のテクノロジーとかけ合わせることによって、時間や動きの可視化を試みる後藤映則(造形学部視覚伝達デザイン学科専任講師)、「ものや事象を鑑賞することで、どのような経験をつくり出すことができるのか」をテーマに、鑑賞者の認識の転換を喚起させるような映像やインスタレーションを手がける小林耕平(造形学部油絵学科准教授)。

 彫刻やインスタレーション、写真の作品を通して、日常にある表裏をもつ物質や空間、日常から非日常へ横断する「もの」のあり方を考察する杉浦藍(造形学部油絵学科/造形学部彫刻学科非常勤講師)、映画やゲーム、インターネット上の画像に基づく建物や街をモチーフに、独自のスケール感のある木彫や高い台座によって風景を生み出す鈴木基真(造形学部視覚伝達デザイン学科非常勤講師)、スーパーボールや鉛筆、紙袋などの既製品に最小限の手を加え、それらを固定された意味から解放することで彫刻の新たな可能性を模索する冨井大裕(造形学部彫刻学科准教授)、映像やインスタレーションを通して生活のなかでとくに意識されない物事を見つめ、それらのなかに折り重なるコンテクストや関係性を可視化する森田浩彰(造形構想学部クリエイティブイノベーション学科非常勤講師)。

 7名の作品によって織りなされた「隔たりの形式」は、見過ごしがちな日常の風景のなかで大きく揺らぎ、かたちを変えていく世界の姿を再認識するきっかけを与えてくれるだろう。

 本展の企画協力は松浦寿夫(武蔵野美術大学 美学美術史研究室 教授)。