EXHIBITIONS

三鷹市美術ギャラリー収蔵作品展Ⅰ

靉嘔

2020.12.05 - 2021.02.28

靉嘔 虹の四季・冬 1990

靉嘔 192 Gradation Rainbow 2004 森秀貴・京子コレクション

靉嘔 Rainbowed Rousseau 眠れるジプシー女 2000 森秀貴・京子コレクション

靉嘔 Animated rainbow of Finnegans wake #3 1995 森秀貴・京子コレクション

靉嘔 my new york still life Ⅲ kitchen store 1986 森秀貴・京子コレクション

 三鷹市美術ギャラリーは2020年より5年間、5回にわたる収蔵作品展をスタート。第1回では、同館でもっとも多くの作品を収蔵する現代美術家・靉嘔(あいおう)の作品を取り上げる。

 靉嘔(本名・飯島孝雄)は1931年茨城県生まれ。海軍軍人であった父の勤務地の関係で度々転居を繰り返し、54年東京教育大学(現・筑波大学)教育学部芸術学科油絵科を卒業。在学中に、瑛九(えいきゅう、1911〜60)が設立した「デモクラート美術家協会」に入会し、積極的にグループ展に出品するようになる。55年には、池田満寿夫(1934〜97)らと「実在者」を結成し、タケミヤ画廊で初の個展も開催した。

 デモクラート美術家協会の解散後、58年ニューヨークに渡り、62年にはアメリカで最初の個展を開催。そして視覚や触覚といった人間の五感に世界を読み込もうとする姿勢が「虹」の探求に向かっていき、世界規模の前衛芸術集団・フルクサス(FLUXUS)に参加するのもこの頃、60年代前半のことであった。

 64年、33歳の年にニューヨークで初めてレインボー作品を発表。以後、赤から紫までの可視光をあらゆるものに重ね合わせるレインボー作品で世界各地の展覧会に参加し続けている。90年に第22回日本芸術大賞を受賞。95年に紫綬褒章を、2005年には旭日小綬章を贈られる。

 本展では、会場をレインボーの作品で埋め尽くすように、靉嘔による版画168点、アクリル画4点、立体1点を展示。6色から最多で192色にまで分割された虹のグラデーションが、やがて24色に落ち着き、1987年6月の3日間には、パリのエッフェル塔に24色300メートルの虹を架けるに至った靉嘔の「虹」の変遷をたどる。