EXHIBITIONS

浜名一憲、大井戸猩猩

2020.11.21 - 2021.01.16

(左)浜名一憲 Untitled  2020 撮影=村田昇 © Kazunori Hamana
(右)大井戸猩猩 Untitled(部分) 2016 © ooido syoujou
Courtesy of the artist and Blum & Poe, Los Angeles/New York/Tokyo

浜名一憲 Untitled  2020 撮影=村田昇 © Kazunori Hamana Courtesy of the artist and Blum & Poe, Los Angeles/New York/Tokyo

大井戸猩猩 Untitled 2016 © ooido syoujou Courtesy of the artist and Blum & Poe, Los Angeles / New York / Tokyo

 BLUM & POE(東京)では、大阪生まれの作家、浜名一憲と大井戸猩猩(おおいど・しょうじょう)による2人展を開催する。

 浜名は1969年生まれ。カリフォルニア州オーシャンサイドのミラコスタカレッジで学び、これまで、紀元前からつくられてきた伝統的な日本の壺や、わび・さびといった日本的な思想、また現代美術やデザインなど多岐にわたって参照し、信楽産の自然土が素材の巨大でのびやかな陶芸作品を制作してきた。近年では、2015年にBlum & Poe(ロサンゼルス、ニューヨーク)を巡回した村上隆のキュレーション展や、横浜美術館 (2016)、十和田市立現代美術館(2017)などでのグループ展にも参加している。

 現在、千葉県を拠点に活動する浜名は、房総半島での日常生活やスタジオを取り囲む自然のリズムと呼応するように、緩やかな制作プロセスで創作活動に取り組む。自らの生活様式、都市から離れた環境に身を置くこと、米の自然栽培やイワシ漁への興味といった作家を取り巻く種々の要素は、その陶芸制作の方法にも深くかかわっているいっぽう、サイ・トゥオンブリーやイサム・ノグチなど作品の参照や、日本のわび・さびからの影響も、浜名の作品が有する存在感を生み出す一端となっている。

 大井戸は1984年大阪府生まれ。関西を中心に発表を続け、現在は奈良県在住。大井戸の創作活動の原点のひとつとして、屋久島の森での滞在経験があり、夜の森で静かに光るキノコや粘菌の様子に触発されるかのように制作に打ち込んできた。緻密に描かれたその絵画作品は、自然が内包する様々な生物の存在や生命活動の共鳴を感じさせる。

 大井戸の作品は、気が遠くなるような描画の工程を経て、その完成までに数年を要することもある。丹念に描かれた赤、青、緑といった単色の色相に満たされた幾何学的なパターンや、円形の集合体を中心に据えた構図は曼陀羅を思わせる。大井戸は、満月や太陽の姿を写し出したような作品群を通して、すべてが互いに関係性を持ち、緻密な精神や肉体から無限の宇宙へ連なる、目に見えないつながりを生み出していくような世界についての総体的な見方を提示している。

 本展では、精妙で複雑さをはらんだ自然という存在から大きな影響を受けてきた浜名の陶芸作品、そして大井戸の絵画作品が競演。東京を拠点とするボタニカルアーティスト・TSUBAKIによる植物のしつらえとともに、ふたりの飽くなき取り組みを紹介する。