ハビア・カジェハ「NO ART HERE」

　スペイン人アーティスト、ハビア・カジェハの新作個展「NO ART HERE」がNANZUKA 2Gで開催される。

　カジェハ は1971スペイン・マラガ生まれ。大きな目が印象的なキャラクターが登場する作品は、日常生活の様々な出来事にほんのすこしの仕掛けを加えることで、驚きとユーモアを与えるトリックに満ちあふれている。

　芸術家のなかでも、とくにルネ・マグリットが好きだというカジェハ。その技法を参考にしながら現代的な肖像画において再解釈しようと挑戦している。色彩の変化、場面の転換、登場人物とメッセージのギャップなどは、カジェハがその細部に注意深く敬意を払うポイント。また、鑑賞者が自ずと読み出すようなストーリーの設定は、カジェハが仕掛けた罠のひとつであり、カジェハの作品を前にした時、私たちはそこに自身の精神性と主観性が表されていることに、やがて気づかされる。

　本展では、「ここにアートはない」というプラカードを掲げた立体作品と、それに基づくインスタレーションを発表。一見すると自虐的な冗談とも取れる今作だが、じつはこのテキストの存在によって、私たちは逆説的にカジェハの作品をアート作品と認識させられている、というトリックが仕掛けられている。