EXHIBITIONS

芳年―激動の時代を生きた鬼才浮世絵師

2020.11.18 - 2021.01.24

月岡芳年 月百姿 朝野川晴雪月 孝女ちか子 1885(明治18)

月岡芳年 那智山之大滝にて荒行図 1859〜60(安政6〜万延元年)

月岡芳年 芳流閣両雄動 1885(明治18)

月岡芳年 義経記五條橋之図 1881(明治14)

 浮世絵師・月岡芳年の画業の全貌を紹介する展覧会「芳年―激動の時代を生きた鬼才浮世絵師」がうらわ美術館で開催される。

「最後の浮世絵師」のひとりに数えられ、幕末から明治へ変遷する激動の時代に活躍した芳年。江戸、新橋に生まれた芳年は、12歳で歌川国芳に入門し、初期には師の画風を踏襲した役者絵や武者絵を描いた。

 その後、江戸の泰平が終わりを告げ、時代が動乱の幕末期へ変容する社会に呼応すべく、洋風画の研究や様々な表現を試みながら独自の世界を確立。徳川慶喜の警護にあたった「彰義隊(しょうぎたい)」の壮絶な戦いを描いた《魁題百撰相》や、西南戦争を主題にした戦争絵、女性たちの細やかな感情を表現した美人画《見立多以尽》、洋画風の明暗表現を取り入れた歴史画《大日本名将鑑》など、様々な作品を世に出し人気を博した。

 そして晩年までの6年間をかけて挑んだ大作《月百姿》では静謐な画風で、従来の錦絵とは異なる夢幻の世界を表現。その画業を評し、彫刻家イサム・ノグチの父であり、文学者であった野口米次郎は『六大浮世絵師』(岩波書店、1919)において浮世絵の終焉を論じながら、芳年を美しい夕焼けに例えた。

 本展では、芳年のコレクションとして質・量ともに世界屈指とも言われる西井正氣コレクションより、250点以上の作品が集結。処女作から晩年期の作品まで、さらに貴重な画稿や素描、版木も加えて芳年の画業を総覧し、「血みどろ絵」のイメージにとどまらない作品世界を紹介する。