EXHIBITIONS

康夏奈/原口典之「追悼展」

ART BASE百島
2020.10.31 - 12.13

写真左から、康夏奈、原口典之

 広島県尾道市の離島・百島にあるアートセンター「ART BASE百島」では、今年惜しまれながら逝去したふたりの美術家、康夏奈と原口典之の功績を偲び、追悼展を開催する。

 康は1975年東京都生まれ。国内をはじめ、ロサンゼルスやフィンランドなどの大自然のなかでとらえた感覚を通して、体験した場所のリアリティをモチーフに風景を描いた。それらの作品群は、平面の枠を越え立体におよび、インスタレーションへと展開された。2020年2月没。

 原口は46年神奈川県横須賀市生まれ。77年のドクメンタに日本人作家として初めて選ばれ、「オイルプール」を発表。廃油を満たした巨大な鉄のプールの作品は、欧米中心の美術界に衝撃を与えた。デュッセルドルフのGalerie Alfred Schmelaで海外初個展(1978)を開催以降、ハンブルグのクンストハーレ(2007)、ニューヨーク近代美術館「TOKYO 1955-1970:新しい前衛」(2012)などでの大規模展も成功させ、国内外で活躍した。2020年8月没。

 康と原口は、ART BASE百島の開館記念展で常設作品を制作。康は実際に百島を歩き、海に潜って感じた世界をオイルパステルで描いた壁画《十一眼レフちんかかと予期せぬハプニング》を展示し、いっぽう原口はART BASE百島のために、常設としては世界に2つしか現存しない「オイル・プール」を手がけた。また、2017年に「乙1731-GOEMON HOUSE」で2トンあまりの大型船の係留ロープを素材とした新作「布袋とロープの関係」を発表。百島で2点目の常設作品となる。

 本展では、多くの人々に感動を与え続ける常設作品と合わせて、ふたりが百島に滞在して制作した記録写真を公開している。