EXHIBITIONS

中野岳「Relational Dialogue」

2020.10.31 - 11.29

中野岳「Relational Dialogue」より

 アーティスト・中野岳の個展「Relational Dialogue」が東京墨田区のToken Art Centerで開催される。

 中野は1987年愛知県生まれ。東京藝術大学美術学部彫刻科卒業、同大学大学院美術研究科彫刻専攻修了。在学中から、日産セドリックを小さな破片になるまで破壊し、溶接などを行いながらもとの車体に復元する《バブリーカー》(2011)や、パートナーを投石機で飛ばしキャッチする実験を行う《空飛ぶワイフ》(2014)など、大規模なスケールと独自のユーモアある作品群を制作し注目を集めてきた。大学院修了後は、シュテュットガルド国立美術大学で学び、ドイツ、メキシコ、中国、フィンランドなど世界各地に滞在。その土地ごとの文化や風習などに反応しながら制作を続けている。

 中野の制作は、つねに他者や自身を取り巻く環境と関わりながら進められていくのが特徴。その過程での対話や衝突などから生まれる様々な「変化」こそを重要であると考えており、「変化」の対象は、個人の精神、身体や人々の関係性だけでなく、それらの前提となっているルールや文化規範をも含む。またコミュニケーションの場としてのスポーツや遊びを度々作品のなかで扱い、一見固定化された人々を取り巻くルールも、関係性の進行によって次第に変化していくことを提示する。

 本展は、中野が格闘競技から着想を得て、ドイツとメキシコで制作した未発表作を含む3部作で構成される。

 3部作のうちのひとつ《Relational Boxing》は、中野が当時滞在していたメキシコ・イサマルに残る、マヤの螺旋の思想や自然観に基づき考案したボクシングする作品。参加者3人が儀式的な行為を経て、外部からの張力で成り立つ七角形のリングのなかでボクシングを行う。リングは外部からの張力とリング内の状況からの影響を受けてかたちを変え、リング内の参加者もまたリングの形状や内部の関係性によって変容してく。

 本展は、中野がこれまで探求してきたスポーツ格闘における関係性の変容が示される展覧会となる。