榎本耕一「NEW LIFE!!」

　ペインター・榎本耕一の新作個展「NEW LIFE!!」がTARO NASUで開催される。

　榎本は1977年大阪府生まれ。物語と現実、言葉とイメージ、過去・現在・未来などが複雑に重なり合い、ひとつの総体として現前するような絵画作品を発表してきた。近年の主な展覧会に、「六本木クロッシング2019展：つないでみる」（森美術館、東京）、「ストーン」（TARO NASU、東京、2017）、「超能力日本」（HAPS、京都、2015）、「絵画の在りか」（東京オペラシティ アートギャラリー、2014）、「GRAPHIC NOVEL」（アラリオ・ギャラリー、ソウル、2014）など。現在は神奈川県を拠点に制作を行っている。

「NEW LIFE!!」と題された本展では、新型コロナウイルスの影響によって変貌する街・東京が舞台の作品を発表。作家によれば、音楽のCDをつくり上げるような感覚で、それぞれのペインティングが互いに関係し合うように制作していったと言う。作品のタイトルには「夜の街」や「日常」など、突如として特別な意味をもつようになった言葉も散見され、これまでもつねに自らを取り巻く社会状況に敏感であり続けてきた榎本ならではの展覧会コンセプトとなっている。

「政治家が作った『新しい生活』という言葉は、新しいパソコン、新しい芸術というような、従来なら夢のある『新しい』という言葉の意味を変えました。しかしそれは革命のように鮮やかに変えたというよりは、半ば押しつけに近いかたちで。本来なにかをきっかけに、または徐々に生まれるはずだった『新しい生活』とは、どのようなものだったのか、また、いま我々が送っている『新しい生活』下において、どんな絵が可能なのかを念頭に全て描きました。また、『新しい』という概念や社会の進み行きは、これ以上いままでのように続けることができるのか。これが今回の作品をつくるにあたって考えていたことです（榎本耕一）」