EXHIBITIONS

今野健太「析出」

2020.09.26 - 10.31

今野健太「析出」より

今野健太「析出」より

 石彫を軸に制作を行う彫刻家・今野健太の個展がHARMAS GALLERYで開催されている。

 今野は1980年東京都生まれ。2009年東京芸術大学大学院博士後期課程美術専攻修了。自分自身を把握することさえできない、人間の不確かさや不安をテーマに、複数の人物が変形し融合した立像や、大人とも子供ともとれるようなデフォルメされた人体彫刻を制作してきた。

 本展では、前回の個展(2019)でまとまって展示された「テノヒラ」、異素材による編み物のマスクと首像の組み合わせによる「アムカオ」、また今野自身の制作において重要な位置を占める首像群「揮発する肖像」などの新作を展示する。

 大型作品の長期にわたる制作期間のなかで発生する石の破片を使用し、ドローイング代わりに即興的に完成させるシリーズとして始まった「テノヒラ」は、割れた石の断面と対照的に有機的な作家の掌のディテールと、つくり手の不明な時代の彫刻や石器などへの観察による原始的なフォルムが同居した掌サイズの作品群。

「アムカオ」は、テノヒラで養われた造形の自由さと、これまで避けてきた異素材の組み合わせによる意欲的な首像シリーズで、古布やペットボトルや藁、アトリエ周辺に自生する植物の繊維などを使い、草履を編む技術を援用して仮面をつくり、首像と組み合わせている。永続的な素材としての石と、石より耐用年数が短いであろう素材を組み合わせて首像をつくることにより、それぞれ素材固有の時間軸を取り込んでいる。

 そして「揮発する肖像」は、今野の制作キャリアの初期からつくられてきた重要な首像シリーズ。造形的な的確さに忍び込むようなデフォルメと違和感の挿入により、不安定にうつろい、明滅するように変化する人間の感情の危うさを表現した作品となる。