EXHIBITIONS

冨井大裕「斜めの彫刻」

冨井大裕 斜めの彫刻 2016-2017 ©︎ Motohiro Tomii Courtesy of Yumiko Chiba Associates 撮影=柳場大

 彫刻の新たなあり方を探求する美術家・冨井大裕の新作個展がユミコチバアソシエイツで開催される。

 冨井は1973年新潟県生まれ。99年に武蔵野美術大学大学院造形研究科彫刻コースを修了し、2015〜16年まで文化庁新進芸術家海外研修制度派遣研修員としてニューヨークに滞在。主に既製の製品や日用品を用いて、明解な構成手法からなる彫刻作品を手がけている。冨井の制作は、彫刻の素材となるオブジェクトが、論理的な操作によって組み合わされ造形されることで、そのオブジェクトには本来与えられていないような、新たな使用法、新たな動作に開かれることに特徴がある。

 本展では、小さなダンボールの端材を思いつきで塗装したことから着想を得た新作《斜めの彫刻》を発表。塗装したダンボールの端材を「斜めにしたい」と考え、それをもとに制作した新作となる。

 これまでの制作において、何らかの操作や体勢・位置関係の変化を通じて、たんなるオブジェクトが「彫刻」になる、その瞬間こそを見極めようとしてきた冨井。本展においてもこの問題意識をもちつつ、あるオブジェクトを「斜めにすること」あるいはそれが「斜めであること」という、オブジェクトに与えられた変異が「彫刻=作品」を形成しうるのかを問う。