EXHIBITIONS

金光男 個展「Control Control」

2020.10.10 - 11.15

金光男 Control Control(参考画像) 2020 © Mistuo Kim

金光男 並んだ距離#1 2019 © Mistuo Kim

 三重県在住のアーティスト・金光男(きむ・みつお)の個展が、開廊1周年を迎えるLEESAYAで開催される。

 金は1987年大阪府生まれ。2012年京都市立芸術大学大学院修了。在学中から精力的に制作を続け、卒業後は「VOCA展2014」奨励賞を、16年には「京都市芸術新人賞」を受賞する。14年、金沢21世紀美術館が注目の若手アーティストを個展形式で紹介する企画シリーズ「アペルト」の、1回目のアーティストに抜擢されるなど国内外で活躍している。

 金はシルクスクリーンの技法を応用し、パラフィン・ワックスによってパネルにイメージを定着させて作品を制作。モノクロのイメージは自らが撮影した写真を使用しており、自身のまなざしをそのまま映し出す。転写されたイメージにあえて熱を加え、溶けて崩れながら固められた作品は、在日コリアン3世として日本に生まれ育った、自身の社会的な不安定さや曖昧な状況を投影している。

 自身の子供が生まれたことをきっかけに、現在は三重県で暮らす金。大阪、京都と都心部に住み続けていた作家にとって、自然豊かな環境は生活に大きな変化をもたらした。それまで必要のなかった草刈りや移動、自然との対峙は想像以上に生きる力を試されることとなり、それは作品制作にも影響を与えている。

 圧倒的な自然を前にした時、それに打ち勝つのではなくいかに共生していくか。田舎での暮らしは、困難な状況でも活路を見出し、進化し続けてきた生物の強かさも時として必要になることを改めて気づかせるきっかけになったという。

 本展では、新天地・三重で制作された新作を展示。金のまなざしを通して、世界の光と影を見つめ直す。