EXHIBITIONS

パープルストリート、秋の素敵な展覧会

續橋仁子 トルコの旅から 躍進 2016 Photo by Fuyumi Murata

山本桂輔 菌太郎 2015

 神奈川在住のアーティスト、續橋仁子と山本桂輔による2人展「パープルストリート、秋の素敵な展覧会」がパープルームギャラリーで開催される。

 續橋仁子1934年神奈川県生まれ。教職に就きながら、40歳の頃から絵の制作を開始し、昨年まで二科展と神奈川女流美術家展に出品する。本展では、續橋がトルコ旅行で見た風景を主題にした、二科展への出展歴がある大作シリーズを展示。カッパドキアの「妖精の煙突」と呼ばれる円錐形の岩や人物や魔除けの同心円状の模様が配された洋画的な絵肌は、しかしひとつの様式にしばられない形態のあり様が、たんにその表現が西洋由来ではないことを示している。

 山本桂輔は1979年生まれ。2001年に東京造形大学彫刻科を卒業。2000年代は草花やキノコ、妖精などをモチーフとした複雑な構造の木彫や絵画を制作する。12年以降は茶色などをベースとした作風となり、収集した古道具に彫刻を施す、また植物や野菜、きのこなどを擬人化させたような小作品を手がけている。16年には東京藝術大学大学院美術研究科彫刻専攻に入学。日本の近代彫刻を学び直し、卒業制作では橋本平八の《石に就て》(1928)を下敷きにした作品を発表する。

 戦前に生まれ、高校で体育教師をしながら美術団体展を発表の場の中心としてきた續橋。美術大学を卒業後、現代美術のコマーシャルギャラリーに所属しつつ、高校の非常勤講師も勤めながら活動する山本。じつは隣人同士であり、同じ教職の経験者でもあるふたりのつくる作品からは、ある共振を感じ取ることができるだろう。