EXHIBITIONS

アルベルト・ヨナタン・セティアワン「Mirror Image」

アルベルト・ヨナタン・セティアワン Speaking in Tongues 2019 © Albert Yonathan Setyawan Courtesy of Mizuma Art Gallery

アルベルト・ヨナタン・セティアワン Zygomorphic Hypnosis 2020 © Albert Yonathan Setyawan Courtesy of Mizuma Art Gallery

アルベルト・ヨナタン・セティアワン Zygomorphic Hypnosis(8点のうちの1点) 2020 © Albert Yonathan Setyawan Courtesy of Mizuma Art Gallery

アルベルト・ヨナタン・セティアワン Zygomorphic Hypnosis(8点のうちの1点) 2020 © Albert Yonathan Setyawan Courtesy of Mizuma Art Gallery

 インドネシア出身のアーティスト、アルベルト・ヨナタン・セティアワンの個展がミヅマアートギャラリーで開催される。

 ヨナタンは1983年生まれ。2012年にインドネシアのバンドン工科大学視覚芸術専攻を修了。その後も現代陶芸について研究を続けるため京都に移り住み、今年、京都精華大学で博士号を取得した。13年のヴェネチア・ビエンナーレでは、インドネシア館代表アーティストのひとりとして最年少で選出され、日本では「サンシャワー:東南アジアの現代美術展 1980年代から現在まで」(国立新美術館/森美術館、東京、2017)に出品するなど、数多くの国際展に参加している。

 主に現代陶芸の領域でアートの実践を重ねるヨナタンは、同時にドローイング、インスタレーション、パフォーマンス、映像作品など、自身の考えを様々なかたちに昇華。対称性の原理が存在するスリップキャスティング(鋳込み成形)の方法を使った作品を通して、私たちを取り巻くあらゆるものを形成する根本的な原理のひとつが「対称性」であることを考察してきた。

 いっぽうでヨナタンは「反復性」について、ヒンドゥー教や仏教の曼荼羅図などの宗教芸術を参照。人間の身体(肉体)も曼荼羅と同じように マクロとミクロのふたつの世界を有するものだと考えている。また素材となる粘土については、古代より人の手を通して造作に使われ、あらゆる素材のなかでもっとも身体性を感じられることから、たんなる材料ではなく精神的な概念の象徴にもなりうるととらえている。

 本展では、低温で焼き上げるテラコッタ粘土を使った陶作品を中心に展示。作品を構成するモチーフは、ヨナタンによって象徴的で霊的な意味合いを含むものとして、花、炎、羽、蛾、目などの自然の要素が抽象的に表され、それぞれのフォルムの集合体からひとつの作品が構成される。

 近年より作家が考察を続けている対称性の原理を、制作過程とコンセプトの両面で提示する新作群。視覚的な美と幾何学、精神的な概念を混在させたこれらの作品を通して、私たちを取り巻く世界がどのようにかたちづくられているのかという作家の熟考を感じ取ることができるだろう。