EXHIBITIONS

泉茂+館勝生展「VISION」

館勝生 let your laughing be turned to sorrow and your enjoyment to dejection 1996

 近年再評価されている美術家の泉茂(いずみ・しげる)と、これに師事し、身体性を重視した抽象表現で高評を得た館勝生(たち・かつお)による2人展。

 泉は1922年大阪府生まれ。51年に瑛九や早川良雄らとともに「デモクラート美術家協会」を結成。国内での版画家としての評価を確立した後、59年に渡米し、62年までニューヨークで活動した。ニューヨークでは抽象表現主義からポップ・アートへ時代の動きを体験。その後、パリに移住してアンフォルメルの動向にふれた泉は、68年以降に日本での活動を再開し、幾何学な形態によって描くことの本質を探る作品を手がけた。

 館は1964年三重県生まれ。87年に大阪芸術大学芸術学部美術科を卒業し、初期の作品では、実家の養蜂場での体験から着想を得た有機的な存在がモチーフの抽象画を制作した。そこから虫のようなイメージを解体して宇宙的な空間を表現した作品を発表。2000年以降には、余白のある画面に、激しい生命観を感じさせる抽象的な有機体を描くなど、2009年に逝去するまで作風を様々に変化させた。

 本展では、両作家による大作を中心に作品約30点を展示。師弟の作品が同時に揃う、貴重な機会となる。