EXHIBITIONS

染谷聡展「DISPLAY」

染谷聡 む/mu #8 2019

 蒔絵(まきえ)などの加飾技法を広義にとらえ、独自の漆表現を生み出す美術家・染谷聡(そめや・さとし)の個展が開催される。

 染谷は1983年東京都生まれ。幼少期の6年間をインドネシアで暮らす。2014年に京都市立芸術大学大学院美術研究科博士後期課程を修了。現在は京都を拠点に活動している。主な展覧会に、「YAMBARU ART FESTIVAL2019-2020」(大宜味村立旧塩屋小学校、沖縄、2019)、「Showcase gallery 2018」(横浜市民ギャラリーあざみ野、神奈川)などがある。

 染谷は伝統的な素材である漆を用いながら、かつてから漆芸における装飾行為である「加飾」を軸に制作し、「あそび」「かざり」「粋」といった言葉で語られる精神文化や美意識に、見る人とともに戯れる作品を模索し続けてきた。

 日常的に目に触れる石、コンクリートの破片、木のかけら。これからが染谷の加飾表現を通して、「もの」と「こころ」の空白を埋めてくれる新しい存在として生み出される。

 本展のテーマは「DISPLAY」。木の枝や石などの拾得物を加飾した作品シリーズや、漆の塗膜の動きに着目した平面作品を中心に展示する。日本橋三越では、2018年のグループ展「漆の現在」以来の出品。工芸の伝統技法を軸に、いままでにない新たな世界観を更新しつづける染谷の作品が一堂に会す。