EXHIBITIONS

松下まり子「居住不可能として追放された土地」

2020.09.16 - 11.01

松下まり子 神話 © Mariko Matsushita Courtesy of KEN NAKAHASHI

松下まり子 死後の世界、生まれ変わりの門 2020 ©︎ Mariko Matsushita Courtesy of KEN NAKAHASHI

松下まり子 Venus 2020 © Mariko Matsushita Courtesy of KEN NAKAHASHI

松下まり子 言葉は鳴き声、対話を試みる © Mariko Matsushita Courtesy of KEN NAKAHASHI

松下まり子 人間、光でいっぱいの虚ろ © Mariko Matsushita Courtesy of KEN NAKAHASHI

 生と死、生きる痛みを表現してきたアーティスト・松下まり子の個展がKEN NAKAHASHIで開催されている。

 松下は1980年大阪生まれ、2004年に京都市芸術大学油画専攻を卒業。2016年に「第2回CAFAA賞」で最優秀賞を受賞し、17年にはロンドンのデルフィナ財団でレジデンスに参加。近年の個展に、「Oasis」(KEN NAKAHASHI、東京、2019)、「Silent Resistance to Oblivion」(KEN NAKAHASHI、東京、2018)などがある。

 松下はこれまで、性的な肉体などを描いた数多くのペインティングやドローイング、各地で集めてきた赤い布で部屋の窓を覆うインスタレーション《赤い部屋》、ロンドンの街中に生息するキツネを追いかけた映像作品《Little Fox in London》などを制作。絵画表現だけでなく、パフォーマンス、映像、写真、詩、立体など多岐にわたる表現方法を展開し、剥き出しの生を希求する心を作品に込めてきた。

 本展では、2019年の後半から描き始めたペインティングを中心に新作を発表。

 ポーランドのアウシュヴィッツ博物館を訪れたヨーロッパの旅を終え、2020年に起きたパンデミックの状況下でひとり筆を手に描き続けた松下は、そのなかで様々なことを思い起こしながら、本展に際して「痛みや絶望や憎しみや死のほうへ突き出されている存在を描く方法が、煌々としたキイロやピンクでも構わないのだと誰かに示唆されたような気でいる(本展ステートメントより)」という言葉を寄せている。