EXHIBITIONS

もうひとつの日本美術史 近現代版画の名作2020

2020.09.19 - 11.23

硲伊之助 南仏の田舎娘 1931頃 和歌山県立近代美術館蔵

橋口五葉 化粧の女 1918 和歌山県立近代美術館蔵

斎藤清 凝視(花) 1950 福島県立美術館蔵 © Hisako Watanabe

 版画は、日本の美術の歴史を語るうえで欠かせないものであり、海外から見た日本の美術を特色づける重要な表現のひとつ。浮世絵は西欧の近代美術を多彩にし、また戦後の版画家たちの国際的な活躍は、海外で日本の現代美術が認められるきっかけをつくった。

 しかし国内においては、江戸時代までの浮世絵から脱して近代以降、版画が美術表現としての立場を獲得するまでに長い時間がかかった。日本各地の公立美術館で研究・収集活動が現在まで続けられるなか、版画を含め、近代から現代までをひとつの流れとして日本美術史を見つめ直すという課題が残されている。

 戦後75年、また21世紀に入って20年を経た2020年という節目の年に開催する本展は、福島県立美術館と和歌山県立近代美術館のコレクションを中心に、「版画」という文脈において、地方から見えるもうひとつの近現代日本美術史を編み直す試み。また、和歌山県立近代美術館にとっては開館50周年を記念した展覧会となる。