EXHIBITIONS

岡崎和郎 小川信治 二人展「BEHIND THE GARDEN」

2020.09.12 - 10.10

手前から岡崎和郎《椿(造花)をいける》(2019)、小川信治《ロンド5》(2017)

岡崎和郎 水の器 2018

小川信治 アントワープ ジュネーブ4、ダミアンのロンド 2018

展示風景

展示風景

 美術家・岡崎和郎と、画家・小川信治の2人展「Behind the Garden」が名古屋のSTANDING PINEで開催されている。

 岡崎は1930年生まれ。身の回りにある事物やイメージを引用し、それらの内実を反転させる手法により様々なオブジェを制作し続けている。従来の思想では見落とされてきたものを補うという「御物補遺(ぎょぶつほい)」の思想を確立した岡崎は、1960年代に美術批評家・瀧口修造に認められ、 90年代以降には奈義町現代美術館に荒川修作、宮脇愛子とともに作品が恒久展示されるほか、倉敷市立美術館、神奈川県立近代美術館、千葉市美術館などで大規模な個展が開催されるなど、戦後の日本美術史において重要な作家のひとりとして国内外で再評価が高まっている。

 小川は1959年生まれ。「世界とは何か」をテーマに既存のイメージを改変し、油彩や鉛筆という伝統的な技法で精密な絵画作品を展開してきた。これまで、国立国際美術館、千葉市美術館、クラクフ現代美術館(ポーランド)で個展を開催するなど国内外で活動。古い写真や絵葉書、誰もが知る名画といった私たちにとって見慣れた風景やイメージを、奇妙で夢幻的な世界へと変貌させ、普段気づくことのない重層的な世界の構造を提示している。

 本展では、岡崎が自身にちなんで制作した「椿(造花)をいける」をはじめ、代表的なシリーズ「HISASHI」などによって構成される「補遺の庭」がギャラリースペースに創出。いっぽう岡崎がつくり出す「補遺の庭」の背後に、新作の鉛筆画《ボウゾフ-エアフルト 1》を含む、小川が描き出した様々な景色が広がる。

 オブジェと絵画という異なる表現方法でありながら、世界の欠落を補足し、いままでにない可能性を示す岡崎と小川。同じ空間に展示された2人の作品は、互いに共鳴し合い新たな対話を生み出す。