EXHIBITIONS

Small Works 1950s-2020

2020.09.08 - 10.10

前川強 1982 出展予定作品

今井祝雄 1970 出展予定作品 

 アートコートギャラリーでは、具体美術協会(具体)に在籍し、その後も長期にわたり先覚的な表現を探求し続けた作家たちによる展覧会「Small Works 1950s-2020」を開催する。出展作家は、正延正俊、田中竜児、前川強、今井祝雄の4名。

 2013年のニューヨークのグッゲンハイム美術館での大規模な回顧展以来、近年「具体」の世界的な評価はさらに高まり、国際的な文脈で戦後美術をとらえる展覧会に具体の作品を含める傾向も数多い。アートコートギャラリーでは2003年のオープン以来、村上三郎をはじめ関西ゆかりのインターナショナルな作家として具体の作家に着目し、地域の文脈とも結びつけながら、大阪から具体に所属した作家たちの活動を世界に向けて発信してきた。

 正延正俊は、具体の創設時からの会員である最初期の具体で実験的な絵画やパフォーマンスが展開されるなかで、地道に抽象絵画を追求し独自の絵画世界を確立。1962年に同グループの会員となった前川は、穀物やコーヒー豆の運搬に使われるドンゴロス(麻袋)を絵画の支持体に加え、有機的なフォルムを隆起させ、絵具を吹き流した作品で注目を集めた。

 第15回具体美術展(1965)を機に迎え入れられた新メンバーのなかで、当時、今井祝雄は19歳。キャンバスの内側に既製品を仕込み表面に穴を穿った白のシェイプド・キャンバスの作品群や、電動モーターによって表面が動く作品に加え、早い時期から映像に取組むなど具体に新風を吹き込んだ。同年に、日本画のバックグラウンドをもつ田中竜児が具体に参加。革新的な表現展開して、67年までメンバーとして活躍した。

 本展は、制作スタイルの異なる4人が具体を通して拓いた、孤高の世界観が凝縮された小作品群を中心に構成。正延は具体に所属した50・60年代の希少かつ貴重な作品を、田中は90年代の作品を中心に、小さな画面に様々な実験のあとが見られる作品群を、そして前川と今井については、70年代から最近作までを展示し、4作家の新旧を交えた作品がコラボレーションする(オンラインでも、展覧会の作品資料や展示風景などを公開予定)。