EXHIBITIONS

高松聡「FAILURE」

SPACE FILMS GALLERY
2020.09.04 - 09.27

高松聡「FAILURE」より

高松聡「FAILURE」より

高松聡「FAILURE」より

高松聡「FAILURE」より

高松聡「FAILURE」より

高松聡「FAILURE」より

高松聡「FAILURE」より

高松聡「FAILURE」より

 日本を代表するクリエーターのひとりであり、近年は写真家・アーティストとして活動する高松聡の初個展が開催される。

 高松は1963年栃木県生まれ。筑波大学基礎工学類卒業。電通入社後営業局勤務、38歳でクリエイティブ局に転身。2005年に電通を退社後、クリエイティブ・エージェンシーGROUNDを設立する。これまで、世界初の宇宙ロケCMを大塚製薬ポカリスエットで実現させるなどクリエイティブ・ディレクターとして多くのブランドを手がけ、カンヌ広告際をはじめとする国際広告賞で数多くのグランプリを受賞し、審査員・審査委員長を歴任したことでも知られている。

 14年、高松は日本の民間人としては初のISS(国際宇宙ステーション)搭乗資格を持つ宇宙飛行士となることを決意し、広告界からの引退を宣言。15年1〜9月までの8ヶ月間、モスクワ郊外の「星の街」にて、宇宙旅行を計画していた英国歌手サラ・ブライトマンのバックアップクルーとして訓練を受け、ロシア宇宙庁公認の宇宙飛行士に認定される予定だった。しかし諸事情で飛行は中止となり、高松はバックアップクルーという立場を失ってしまう。

 高松はそれでも挫けず最後まで訓練を続け、すべての試験を好成績で合格し卒業式を迎えるものの、正式クルーから外れたために、卒業証書には宇宙飛行士認定の文字はなかった。想定外の出来事で何度も希望を失いかけたという高松。「星の街」にいつまでいられるかという焦燥感と、写真への元来の集中力で1万枚を超える写真を撮影し、そのなかで新しい「夢」を見つける。

 それは、「国際宇宙ステーションに滞在し、宇宙から見る地球の姿を写真と映像で撮影し、地上で再現すること」。いずれの機関が認定したかという肩書を追い求めることには意味がないとことに気づき、「何を成し遂げるために宇宙にいくのか」こそに意味があるという答えに至った。

 本展では、「星の街」で撮影された写真を一堂に集め、高松が「失った夢」と「発見した夢」を表現するもの。宇宙での撮影に向けた、プロジェクトの第一歩でもある。