EXHIBITIONS

村田宗一郎「Women, Animals, and a Fence that parts self from others」

2020.09.04 - 09.27

村田宗一郎 In Blue 2018 撮影=市川靖史

 1985年生まれの美術作家・村田宗一郎による個展が、京都にあるFINCH ARTSとkumagusuku SASの2会場で同時開催される。

 村田は奈良県出身。2009年東京藝術大学美術学部先端芸術表現科中退し、以降は京都と奈良を拠点に活動。学生時代より、とくに直線的なドローイングとそれらを基点としたインスタレーションにより、作品世界に抒情的な要素を織り交ぜ、同世代のなかでも「アートアワードトーキョー 丸の内2009」において長谷川祐子賞を受賞するなど、いち早くアーティストとしてのキャリアをスタートさせた。

 またアートを取り巻くコミュニティにも意識的であることから、2009年には京都に拠点を移し、複数のアーティストや建築家と共同スタジオを設立。その後は、国内外のグループ展に参加しながら、13〜16年にはキュレーターの遠藤水城がディレクターを務めるHAPS(東山 アーティスツ・プレイスメント・サービス)のスタジオ使用者となるなど、関西を代表する若手作家として頭角を現す。

 本展は、14年の初個展「May of Wives」以来約6年ぶりのホワイトキューブでの展覧会。FINCH ARTSで開催する「Women, Animals, and a Fence that parts self from others」展では、村田がすべてのクリエイションの核と位置づける紙に描かれたドローイングに焦点を当て、女性像や動物など描くことによって自発的に生成されるモチーフの存在と、その関係性を浮かび上がらせる。

 次いでkumagusuku SASを会場とする「In Blue」展では、 ペインティング、金属を用いた立体、音響など、個々の作品は独立しながらも、これまで村田がインスタレーションによって培った審美性によって空間を構成。即興的に描かれるドローイング、構築的な手技の積み重ねであるペインティング、ソリッドな質感を持つ立体作品、空間的なインスタレーションなど広範囲に及ぶ取り組みを扱い、作家の包括的な創作活動の展覧を試みる。