EXHIBITIONS

メスキータ展

2020.09.12 - 10.25

サミュエル・イェスルン・デ・メスキータ ヤープ・イェスルン・デ・メスキータの肖像 1922 Photo:J&M Zweerts

サミュエル・イェスルン・デ・メスキータ ワシミミズク 1915 Photo:J&M Zweerts

 サミュエル・イェスルン・デ・メスキータ(1868-1944)は、19世紀末から20世紀前半にかけて、オランダで活躍した画家、版画家、デザイナー。メスキータは、明暗のコントラストとシャープな線が特徴的な木版画をはじめ多様な技法による版画を制作したほか、シュルレアリスムに通じる自由な発想に満ちたドローイングや、デザインの仕事も手がけた。

 また美術学校で後進の指導を行い、美術団体の要職も務めるなど、当時のオランダのグラフィックアート界を牽引。日本でも人気の高いエッシャーは、メスキータに大きな影響を受けた教え子のひとりだ。

 ポルトガル系ユダヤ人の家系に生まれたメスキータは、1944年に家族とともにナチスに逮捕され、アウシュヴィッツ強制収容所で死去。エッシャーをはじめとする友人や知人たちは、アトリエに残された膨大な作品の一部をひそかに運び出して守り抜き、戦後はメスキータの顕彰に努めた。

 ドイツの個人コレクション約230点によって構成される本展は、メスキータの日本で初めての回顧展。多くの人々の尽力によっていまに伝わる、メスキータの魅力にふれることができる貴重な機会となる。