EXHIBITIONS

中川トラヲ

Break Even Point

2017.08.19 - 09.16

中川トラヲ untitled 2017 画像提供=児玉画廊

 中川トラヲは、イメージを視認することがどういう働きであるかをテーマとした絵画制作を一貫して続けている。

 初期作品においては、目が無意識に排除しているであろう埃やチリといた存在を意図的に拾い上げて描く試みを展開。結果として半具象/半抽象的な画面に半ば強制的に転換されていった。その後、より無意識的な方法として、板の木目やキャンバスのシミなど、もともとある無意味で偶然的な線や図形をルーズになぞり描くことでいつしかそれが風景のような、何かの生き物のような、ありそうでないモノが自ずと描き出される絵画へと移行。

 近年続けていた薄いベニヤ板(時に変形に切り抜いた)に描く作品は、何かを視認するということの意味の範囲がより拡大し、自身の作品を絵画というオブジェクトとして認識することをすら極力避けようとする試みとなった。

 本展では、薄ベニヤに描くシリーズから一転、フレーミングに主眼を置いたドローイング作品や、変形仕上げのペインティングシリーズなど、これまでのコンセプトを引き継ぎながらも新たな試みを見せる構成となる。