EXHIBITIONS

古武家賢太郎「その向こう側へ」

2020.09.04 - 10.03

古武家賢太郎 Lost Paradise 2020 ©︎ Kentaro Kobuke / MAHO KUBOTA GALLERY

古武家賢太郎 Sleepless 2020 ©︎ Kentaro Koboke / MAHO KUBOTA GALLERY

古武家賢太郎 Pink Handkerchief 2020 ©︎ Kentaro Koboke / MAHO KUBOTA GALLERY

 古武家賢太郎の3年ぶりとなる新作個展が、MAHO KUBOTA GALLERYで開催される。

 古武家は1975年広島県生まれ。98年に桑沢デザイン研究所を卒業し、2009年にロンドン芸術大学 チェルシー・カレッジ・オブ・アーツ修士課程を修了。自然木の板を支持体に色鉛筆で直接描き込んでいく独特の手法で、神話や童話からの引用をイメージさせる幻想的なペインティングを手がけてきた。

 ここ数年はロンドンを制作と生活の拠点としてきた古武家。しかし2020年の世界的なパンデミックの混乱のなか、広島に帰郷したまま個展に向けて制作に励む日々を送る。

 本展では、広島で制作された新作ペインティングを展示。冬から春、春から初夏にかけて生みだされた一連のペインティングには、古武家作品の特徴的な寓話性やリリシズムに加え、対象を見つめる作家の静かで激しいまなざしの気配が色濃く宿っている。

 古武家の手で描かれたのはユートピアでもディストピアでもない、浅い夢のなかのようで並行世界のようでもある光景。絶望とかすかな希望のあいだで揺れ動く心の情景が色面の層をより重層的にし、そこには過去の断片への懐かしい気持ちや人の営みをよそに何も変わっていない自然への畏敬の念、混乱の流れのなかで出会った未知の自分の姿といった、去来する様々な思いが表されている。