EXHIBITIONS

井桁裕子「風の世紀」

井桁裕子 聖杯 © Hiroko Igeta

「人形」を表現として取り組んできた井桁裕子の、陶作品のみによる初個展がGalerie LIBRAIRIE6+シス書店で開催される。

 井桁は1967年東京都生まれ。武蔵野美術大学を卒業後、デザイン会社に勤務。在学中に本城弘太郎に球体関節人形を学んだ。96年より、自身の社会性において自分の身体を正しく把握できないことへの危機感から「セルフポートレートドール」として自らをモデルにした球体関節人形の制作。ライフワークとして現実に出会った人物をモデルに作品の制作を続けている。

 デザイン会社を退職後はイラストレーターとして活動するいっぽうで、作家活動を本格的させ、2004年には東京都現代美術館での「Dolls of INNOCENCE 球体関節人形展」に参加。05年に四谷シモン人形学校に入学。同じ頃「舞踏」との出会いをきっかけに、球体関節人形のスタイルを越えた造形を探求し始める。以来、桐塑、陶、布、油彩、人毛など様々な素材を使い、人間個人の存在感や身体のイメージなどを表現している。

 本展では、ライフワークである肖像作品に取り組む傍らで続けてきた、「陶」による作品約20点を展示。「風(空気、air)」には、20年に一度の木星と土星の直列が今年に起きるという西洋占星術の見解からとり、「時代への変化」という意味が込められている。