今村文「となりの庭」

　花や植物をモチーフに作品を手がけてきたアーティスト・今村文の個展がnidi galleryで開催される。

　今村は1982年愛知県生まれ。2008年金沢美術工芸大学大学院美術工芸研究科絵画専攻油画コースを修了。現在、愛知県を拠点に活動。あいちトリエンナーレなどの美術館展示への出展や、新進アーティストの公募展「第13回 shiseido art egg」（2019年）に入賞と、ますます活躍の場を広げている。

　今村は花や植物を主なモチーフとし、半透明のグラシン紙に貼り付けた切り絵による水彩画や、着色した蜜蝋を溶かし、漆喰に焼き付けるエンコスティック（蜜蝋画）を制作。押し花や標本などを彷彿とさせる作品はどこか懐かしく、儚げで愛おしさを感じさせる。

　本展では、今村の最新作を展示。華やかな花の部分だけでなく、地中に広がる根っこや小さな虫たちにも意識を寄せ、その存在について考察する今村の豊かな想像力と繊細な感受性、芯の強さによって生み出された作品は、私たちに多くのことを語りかけ、新しい景色を見せてくれるだろう。