EXHIBITIONS

四方謙一展「transition」

六本木 蔦屋書店 2F BOOK GALLERY
2020.08.06 - 09.13

四方謙一展「transition」より

四方謙一 cutting light 2019

四方謙一 swimming in the view 2019

四方謙一 in between the view 2019

 気鋭の若手作家を紹介する六本木 蔦屋書店のギャラリースペース「BOOK GALLERY」にて、四方謙一(しかた・けんいち)の個展がを開催される。

 四方は1983年京都府生まれ。2004年より野老朝雄に師事し、07年に早稲田大学芸術学校建築設計科を卒業。10年頃より彫刻や写真による表現活動を展開してきた。

 近年はRAYARD MIYASHITA PARK(東京・渋谷)内の天井に設置された長さ約28メートルの作品や、山口銀行賞を受賞した第28回UBEビエンナーレでの野外彫刻展示など大規模な作品の発表。いっぽう、英アート雑誌『Aesthetica Magazine』が主催するAesthetica Art Prize 2020にてショートリストに選出されるなど、国外でも評価されている。

 数学的なアプローチで知られる野老朝雄に師事した四方の作品は、緻密に計算された金属の立体作品に見られる、幾何学的でミニマルな造形が特徴。また建築を学んだ経験から、空間や光/影、周辺環境をも積極的に作品に取り入れている。図面上では最小限の線の構成に過ぎなかったそれらの造形は、複雑でつねに移り変わる金属面の集合体となって立ち現れ、無限の変容を見せてくれる。

 本展では「transition」をテーマに、四方が繰り返し制作に用いてきた、素材の金属板そのものの存在を浮き彫りにするような作品群を発表。一片の金属板が、作家による必要最小限の切り込みや折り目によって何通りにも姿を変え、そして周囲を映し込む作品群は、めまぐるしく移り変わる世界情勢の変容そのものを思わせる。

 新作を含む立体作品とフォトグラムのシリーズに加え、作家にとって初となるモビール作品も展示。四方の言葉で「地球まかせ」と呼ばれる、重力によってかたちづくられるそれら宙づりの金属板の作品群は、自然の猛威に翻弄される現代社会にひとつの示唆を与えてくれるかもしれない。