EXHIBITIONS

彦坂尚嘉「本歌取り新古今和歌集」&「孫たちの名画遊び」の2本立て上映

2020.08.08 - 10.04

ヤコポ・ダ・ポントルモ《十字架降架》(1526〜28頃)の切断された画像にこどもの落書き

エルンスト・ルートヴィヒ・キルヒナー《ダンシング・カップル》(1914)の切断芸術

 美術家・彦坂尚嘉の展覧会がカスヤの森現代美術館で開催。本展では、近年力を入れて制作を行っている、切断芸術による作品を中心に展観する。

 彦坂は1946年東京都世田谷生まれ。多摩美術大学絵画科在学中に「美術家共闘会議(美共闘)」を結成。70年より、自宅の8畳間の畳の上にゴム液を大量に流す「フロア・イヴェント」を行う。75年に美共闘資料集として『反覆・新興芸術の位相』を刊行。これまで、99年の「グローバル・コンセプチュアリズム展」(クイーンズ美術館、ニューヨーク)や2005年のリュブリアナ国際版画ビエンナーレ(リュブリアナ美術館、スベロニア)など海外の展覧会にも参加してきた。17年に「切断芸術運動展」(東京都美術館)をキュレーション。主な受賞歴に、写真の会賞(1998)、兵庫国際絵画コンペティションで優秀賞(2005)などがある。

 現代美術のみならず、執筆活動や独自に開発した言語判定法を駆使して、芸術分析を展開するなど多岐にわたって活躍してきた彦坂。本展では、欧米の名画を切断して組み替えた近作を発表する。

 今回展示される作品は、評価の良し悪しが分かれる日本の『新古今和歌集』を前提したものだという。著名な古歌の1、2句に自作に取り入れて作歌する「本歌取り」を美術に応用して、イタリアの画家ヤコポ・ダ・ポントルモや、ドイツ表現主義のエルンスト・ルートヴィヒ・キルヒナーなどの絵画を切断し、美術作品として展開する。