EXHIBITIONS

大久保薫「ろ過装置」

2020.07.18 - 08.29

大久保薫 作業員 2020 画像提供=児玉画廊

 一貫して「身体」をモチーフとした作品を制作する画家・大久保薫の個展が、児玉画廊|天王洲で開催されている。

 大久保は、これまで扱ってきた具体的なモチーフのなかでも、とくに男性の身体を多く描いてきた。初期では、セルフポートレイトをもとに、あえて身体的拘束と制限を課した状態で制作に臨むなど、直接的に自分の身体性を絵画に反映させること試みた。その後は自身の姿を遠ざけ、より象徴的な「肉体」を追求している。

 様々な視点から「身体」を描く行為の本質を探っている大久保。描かれているものに関心を寄せすぎないように、作品の場面を具体的な明示を避け、中年男性の弛んだ腹部や体毛を表現する絵具の色調や、筆触の変化から見えてくる色と空間性の相互関係の受容を鑑賞者にゆだねる。