EXHIBITIONS

彫刻たちの饗宴

2020.06.16 - 12.06

黒川弘毅 EROS 72 2009 平塚市美術館蔵

 平塚市美術館は再開後の展覧会として「彫刻たちの饗宴」を開催。新型コロナウイルス感染症対策のため、展示室を用いた展覧会に替え、テーマホールを活用した立体造形作品の展示を行っている。

 平塚市美術館はメインテーマに「湘南の美術・光」を掲げ、館内には陽光の差し込む高さ11 メートルのテーマホールを設けている。いっぽう同館では、様々な素材と作家の感性による彫刻や工芸作品を幅広く収蔵しており、それぞれが個性的な輝きを放っている。

 本展では、同館の所蔵作品のなかから、11人の作家が異なる素材・感性によって表現した立体作品に光を当て、これまでの彫刻や工芸の枠を超え新たな発見ができるような22作品を選び展示。

 ミニマル・アートを標榜した湯原和夫、構築的で空間的な構成を示した保田春彦、人型に掘った砂にブロンズを流すという原初的な制作方法に彫刻の意味を問う黒川弘毅、萩焼を代表する三輪龍氣生(12代休雪)の大作、工芸を出自として物を収納するかたちを追求した辻協、小田薫、様々な素材を組み合わせて制作した林辺正子、さらに西洋の造形思考によるホセ・デ・リベラ、パウル・ヴンダーリッヒといった幅の広い作域の作品が饗宴する。

「彫刻たち」という呼び名が、様々な野外彫刻や人物、動物などの彫刻に愛着を込めて使われた例にならい、本展ではあえて焼物や鍛金、ファブリックなどの工芸作品も含めて紹介。展覧会タイトルの「彫刻たちの饗宴」には、見る人に楽しんでもらえることを願う思いが込められている。