EXHIBITIONS
彦坂尚嘉「フロア・イベント:反復と変容」
1970年代以降の日本のコンセプチュアル・アートを主導したアーティストのひとり、彦坂尚嘉の初期の代表的なパフォーマンス作品に焦点を当てた個展が開催されている。
彦坂は1946年東京都生まれ。67年多摩美術大学油彩科に入学し、69年に掘浩哉らとともに「美術家共闘会議」を結成。ゴム植物などから得られる「ラテックス」を床にまく行為を主題とした「フロア・イベント」を70年より開始する。その後、自室の畳や家具を移送して行う「デリバリー・イベント」や、「シーリング・ミュージック」「カーペット・ミュージック」などほかの要素やイベントと複合。また案内状やインストラクションなどの紙の作品も含めて「フロア・イベント」の変奏を繰り返し、75年のパリ青年ビエンナーレでの展示をシリーズの7番目に、帰国後は日本の税関に畳を没収焼却されるまでをファーストサイクルとして続けられた。
70年と71年の「フロア・イベント(No.1、No.2)」の後、72年に、彦坂は自宅から畳と家具類を梱包して京都のギャラリー16に運び、「フロアイベントNo.3」を開催。梱包された家具類と4トン半のトラックには赤字で「REVOLUTION」と記し、東京から京都までの500キロを移送した。そして展示に合わせてギャラリーの壁を撤去。ギャラリー空間を自室へと変貌させ、その場で床にラテックスを撒く行為を行い、ラテックスが乾いていく過程をそのまま展示すると、最終的には皮膜となったラテックスを剥がし、ギャラリーを原状復帰して、すべての畳と家財道具を再度梱包して東京に帰ることを試みた。
美術表現の制度そのものを根元から問い直した彦坂の作品群は、一般に「パフォーマンス」に分類される。しかし当時の彦坂は写真を使った「情報アート」の試みの一環として「フロア・イベント」を繰り返し、写真撮影を作品の不可欠な要素として探求してきた。また、当時の技術的限界のなかで、時間のうちに生起する作家の行為や「ラテックス」の変化を表現しようと、スライド・ショーを制作していた。
本展では、彦坂が70〜75年に行った「フロア・イベント」シリーズから、3つの作品(No.3〜5)のビンテージ記録写真やスライドショー、またオリジナルの案内状などを展示。ニューヨーク在住の美術史家・富井玲子氏の編纂による「フロア・イベント:ファーストサイクル」のクロニクルも発表する。
彦坂にとってイベントや写真とは何であったか。インストラクション、プラクティス、情報、パフォーマンス、インスタレーションといった70年代以降のグローバルなコンセプチュアリズムを牽引する事象について、またそのなかにおける「フロア・イベント」の位置づけなど、本展では様々な問いを提起する。
彦坂は1946年東京都生まれ。67年多摩美術大学油彩科に入学し、69年に掘浩哉らとともに「美術家共闘会議」を結成。ゴム植物などから得られる「ラテックス」を床にまく行為を主題とした「フロア・イベント」を70年より開始する。その後、自室の畳や家具を移送して行う「デリバリー・イベント」や、「シーリング・ミュージック」「カーペット・ミュージック」などほかの要素やイベントと複合。また案内状やインストラクションなどの紙の作品も含めて「フロア・イベント」の変奏を繰り返し、75年のパリ青年ビエンナーレでの展示をシリーズの7番目に、帰国後は日本の税関に畳を没収焼却されるまでをファーストサイクルとして続けられた。
70年と71年の「フロア・イベント(No.1、No.2)」の後、72年に、彦坂は自宅から畳と家具類を梱包して京都のギャラリー16に運び、「フロアイベントNo.3」を開催。梱包された家具類と4トン半のトラックには赤字で「REVOLUTION」と記し、東京から京都までの500キロを移送した。そして展示に合わせてギャラリーの壁を撤去。ギャラリー空間を自室へと変貌させ、その場で床にラテックスを撒く行為を行い、ラテックスが乾いていく過程をそのまま展示すると、最終的には皮膜となったラテックスを剥がし、ギャラリーを原状復帰して、すべての畳と家財道具を再度梱包して東京に帰ることを試みた。
美術表現の制度そのものを根元から問い直した彦坂の作品群は、一般に「パフォーマンス」に分類される。しかし当時の彦坂は写真を使った「情報アート」の試みの一環として「フロア・イベント」を繰り返し、写真撮影を作品の不可欠な要素として探求してきた。また、当時の技術的限界のなかで、時間のうちに生起する作家の行為や「ラテックス」の変化を表現しようと、スライド・ショーを制作していた。
本展では、彦坂が70〜75年に行った「フロア・イベント」シリーズから、3つの作品(No.3〜5)のビンテージ記録写真やスライドショー、またオリジナルの案内状などを展示。ニューヨーク在住の美術史家・富井玲子氏の編纂による「フロア・イベント:ファーストサイクル」のクロニクルも発表する。
彦坂にとってイベントや写真とは何であったか。インストラクション、プラクティス、情報、パフォーマンス、インスタレーションといった70年代以降のグローバルなコンセプチュアリズムを牽引する事象について、またそのなかにおける「フロア・イベント」の位置づけなど、本展では様々な問いを提起する。