EXHIBITIONS

大正イマジュリィの世界 ―儚く、妖しく、美しく

2020.08.01 - 09.22

橋口五葉 楽神 『音楽』表紙 1906(明治39) 個人蔵

浅井忠 花神を祭る 『さをしか』 口絵 1907(明治40)年 佐倉市立美術館蔵

森谷延雄 ねむり姫の寝室 『婦人グラフ』挿図 1925(大正14)年 佐倉市立美術館蔵

「イマジュリィ(imagerie)」 とは、イメージ図像を意味するフランス語。装幀や挿絵、ポスター、絵はがき、広告、マンガ、写真など大衆的な複製図像の総称でもある。

 明治維新以来、近代化・西欧化の道を歩んできた日本では、大正〜昭和初期にかけて新しい大衆文化が花開いた。マスメディアが発達し、印刷技術の革新により出版界が隆盛したのもこの頃で、多様な印刷図像が登場した。

 竹久夢二や高畠華宵、武井武雄が描く儚く抒情あふれる乙女や子供の世界、アール・ヌーヴォーやアール・デコの優美な様式を取り入れた藤島武二や杉浦非水、水島爾保布や橘小夢らによる妖しいきらめきに満ちた意匠は、当時の人々の目に新鮮に映ったことだろう。

 本展では、ポピュラー・カルチャーの旗手として人々の心をつかみ、大正とその前後の時代を彩ったイマジュリィに注目。いまなお精新な輝きを放つ作品の数々を楽しむことができる。

 また、明治図案から大正イマジュリィへの橋渡しをした浅井忠や、浅井の図案をもとにした工芸作品、大正イマジュリィを立体化したような家具をデザインした森谷延雄などもあわせて紹介する。