エヴェリナ・スコヴロンスカ展

　ポーランド出身のアーティスト、エヴェリナ・スコヴロンスカの個展が、スパイラル1階のMINA-TOで開催される。

　スコヴロンスカは1980年ポーランド生まれ。広告業界でキャリアを積んだ後、2013年よりアーティストに転身。15年にロンドン芸術大学ビジュアルアーツ（視覚芸術）専攻課程修了。20年には長崎県南島原市にあるアーティスト・イン・レジデンス、アートビレッジ・シラキノに滞在。現在は東京を拠点に、イギリス、アメリカ、カナダ、アイルランド、日本などで個展やグループ展に参加し、国際的な活動を行う。

　スコヴロンスカの作品には、様々な色や形の身体の一部がモチーフとして登場し、「どのような肌の色、身体の大きさ、文化的背景であれ、女性は等しく美しく、強い。身体という枠を超えて、気持ちを伝えてほしい。十分な自信をもって世界に出てほしい」というメッセージが込められている。力強いメッセージを込めながらも、軽やかで柔らかな色使い、大胆な画面の構成が作品の魅力。身体性と官能性のなかにある身体を探求することで、具象と抽象の境界線上にあるイメージを制作している。

　本展では、彫刻作品をはじめ、作家が以前からリサーチを重ねてきた古代ギリシアの女性詩人・サッポーの詩からインスピレーションを受けた新作の版画シリーズ「if not, winter」を展示・販売。ジェンダー、アイデンティティ、セクシュアリティ、身体に関連する問題に向き合い制作された平面作品は、女性の身体をモチーフに身体性と官能性を探求し、軽やかな色彩で抽象と具象の境界が大胆な構図で描かれている。

　人々のアイデンティティがより問われている昨今。時代を越えて色褪せることなく愛されるサッポーの女性へ向けた言葉を通して、スコヴロンスカが作品に込めたメッセージを感じ取ってほしい。

　本展開催と同時に、スパイラルのウェブサイトにて展示作品を楽しめるオンラインギャラリーも公開予定。