EXHIBITIONS

布施琳太郎、名もなき実昌「Pandora Battery」

IAF SHOP*
2020.07.02 - 07.19

展示風景

展示風景

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 名もなき実昌と布施琳太郎による2人展「Pandora Battery」が、福岡のIAF SHOP*にて開催されている。

 名もなき実昌は、2015年よりTwitterを中心に、その日視聴したアニメのドローイング、jpegをモチーフにしたペインティングを発表してきた。主なモチーフはアニメキャラクターやTwitterなどのSNSの断片的な情報や画像など。近年はiPhoneのタッチパネルを想起させるようなストロークを使用したペインティングなども制作し、国内のギャラリーや美術館で積極的な活動を行っている。

 布施は1994年生まれ。東京藝術大学で油画と映像メディア学を専攻し、iPhoneの発売以降の社会についての分析を先史時代の洞窟壁画についてのリサーチと重ね合わせることで特異な活動を展開してきた。コロナ禍におけるいち早いリアクションとして企画された詩人・水沢なおとの2人展「隔離式濃厚接触室」は、アート界を超えて注目を集めた。

 本展タイトルにある「Pandora Battery」は、ソニー・コンピュータエンタテイメントによって2004年に発売されたPlayStation Portable(PSP)をクラッキングするために使用されたバッテリーの名称でもある。ゲームディスクをリッピング(複製)、またほかのゲーム機向けに開発されたソフトウェアを起動することを可能にした「Pandora Battery」は、10年の著作権法改正で違法行為として明記されることとなり、当時中学生だった作家ふたりのリアリティの形成に大きな影響を与えた。

 いまとなっては、違法でなかった事実すら想像することが難しい行為。両者が成熟した倫理を獲得する前に経験した、ゲーム機をはじめとしたディスプレイ内世界で行われるデータの複製と再生の氾濫について、本展では空間全体を用いて表現することを試みる。